うわごう径を行く〜日向・嶽集落〜
安達 - 2013-02-28 01:42

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第1回は浦山渓谷の秩父さくら湖を望む日向集落を出発地に選びます。
埼玉はどこも中途半端な田舎の殺伐とした風景が拡がる土地ですが、飯能市から国道肉球(299)を通り正丸峠を越えると、「埼玉のチベット」と称される大自然に囲まれた土地に到達します。秩父駅周辺と荒川沿いは比較的栄えた商業地と住宅地が密集しますが、すこし道を逸れるだけでみるみる文明から遠ざかり、春先でもお構いなく大雪の降り注ぐ厳しい環境に曝されます。


猿がいます、あちこちに。
浦山付近は猿が多く、ダムの堰堤付近でもよく見かけます。人間が餌を与えないので、人間のことを恐れているようですが、みかけてもあまり近づいたり刺激しないようにします。他にも鹿の鳴き声と足跡にはよく遭遇しますが、熊も出没することがあるそうです。熊さんに出会ったら花咲くうわごう径、生きながら喰われる最悪の死を覚悟せねばなりません。

 


日向集落にはまだまだ人が住んでおり、案内がないと一見どこからうわごう径へ至るのかわからない地形になっています。家屋自体もかなり古いのですが、まだまだ現役で、人の手が入っているお陰か、綺麗に片付けられています。廃屋は二つありますが、一つは最近撤去されたようです。

 


日向公会堂(北側の廃屋は現存せず)付近から急勾配の径をのぼり、山道へ分け入ると、やがて嶽集落が見えてきます。ここへは2011年に1回、2012年に季節を分けて2回訪れていますが、最近訪れたときはあいにくの雨天で、集落は霧に包まれていました。

 


集落奥の庭先です。
訪れる度に少しずつ物の位置などが変わっていて、片付けられていますから、家屋自体は使われているのでしょう。集落の半分以上がダムに沈み、ここも打ち棄てられ無に向かって不可逆な時間を順行するはずですが、未だに手が入って崩落の手前で爪先立って、廃村と呼び捨てられることに抵抗するちょっとした奇観をみることができます。
それがこの嶽集落のユニークさなのですが。

 


最も崩壊が進んでいる家屋。
こちら側はそうでもありませんが、反対側は落石などで壁がほとんど破壊され、酷い有様をみせています。二階建ての二階の床も残っているのですが、何が残されているかを確認するのは至難の業です。

 


障子は骨しか残っていません。毎年、豪雪と台風に曝されているのですから、もうまもなくつぶれるでしょう。

 


最近訪れたときは比較的暖かい日だったのですが、山の中は凍り付いていました。食堂の前に捨てられた風呂桶にも氷が張っています。

 


ガスの炊飯器です。流石に竈でぐつぐつする時代ではありませんね。

 


集落の一番高いところにある白い家です。入り口は閉じられ、家自体がやや傾いて歪んでいるため、もはや引き戸をあけることはできなさそうです。

 


白い家の庭先。郵便ポストがありますが、郵便局員はわざわざここまで配達に来ていたのでしょうか。他の集落でもそうですが、往復するだけで一仕事になるような険しい位置にこうした郵便ポストが設置され、この区域の配達員は相当タフでなければ勤まりません。洗濯物が干されていますが、一年以上前からこの状態のまま時間がとまっています。

 


DESOLATE
以前のWpJ公式タイトル画像になっていたのはこれです。何かの撮影に使ったのでしょうか。再訪したときにはなくなっていました。

 


馬頭観音菩薩の地蔵。
この先には崩壊寸前の土倉と、十二社神社がありますが、有名なので省きます。
うわごう径はここから山の中へ延びていますが、ほとんど整備されていないために実際に山道を辿るのは危険で、場所によっては倒木などにより通行できなくなっていたり、径そのものが崩落している箇所もあります。日向がある間は嶽もこうして整備されると思いますが、これから人が増えることは無い地域ですから、誰も観測することのない忘失の時間が、かの峯集落同様総てをおしつぶして飲み込んでしまうまで、定まりもなくしずかに滴るだけでしょう

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SERIES TOPICS - うわごう径を行く
安達 - 2013-03-08 01:55
大神楽、武士平を後にして、小持山、大持山の向こう側、シリーズ終着点、白岩集落へ至ります。
車で行くには秩父方面からではなく、飯能方面から名栗湖へ向かう70号をひた走り、すれ違うことさえ困難な細い道の終端にある鉱山施設JFEミネラル武蔵野鉱業所に至ります。
白岩集落は最近まで人が住んでいたようで、保存状態の良さも含めてうわごう沿い集落の中でもっとも美しい廃村です。
安達 - 2013-03-06 00:19
茶平を後にして有坂を通過すると、たわの尾根に至る前に武士平集落と大神楽集落に立ち寄ることができます。アクセスの悪い有坂を避けたのですが、事前情報と異なり、これらは生きた集落でした。
みつけられた廃屋は武士平で二軒、大神楽で二軒のみ。それだけでも十分な宝の山です。
安達 - 2013-03-03 21:43
嶽集落からうわごう径を南下すると、巣郷集落の土台群を通過し、やがて茶平集落へ至ります。浦山渓谷がダムに沈む前はお茶の生産もやっていたこの集落は完全な廃村となっており、ここへ至る下道の12%勾配と、降った雪が溶けずにアイスバーン化して行く手を遮るのです。
この集落もまた有名ですから、今回、あまり目にすることの無い廃墟に残されたアーカイブと共に、西側廃屋を紹介します。
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