うわごう径を行く〜白岩集落〜
安達 - 2013-03-08 01:55

ブログランキング・にほんブログ村へ

うわごう径を行く。最終回は林道の終着点にして出発点である白岩鉱山に面した白岩集落に到着です。
白岩とは鉱山背後の石灰山のことです。この集落は小倉沢と異なり鉱山労働者の村ではなく、炭焼きや林業で生計をたてていたところで、炭の需要がなくなって徐々に過疎化、平成7年頃までは人が住んでいたようですが、いまでは完全な廃村となっています。

 
年が明けた最初の週末、凍てついた国道をのぼり、JFEミネラルの武蔵野工業所に至ります。途中にキャンプ場と、手を洗えるところがあるのですが、このように流れる水ごと完全に凍っていました。鉱山施設は巨大で想像以上に広く、ダイナマイトで破掘し、縦穴に石灰石を落とすという豪快な採掘を行っているようです。この鉱山のすぐ脇に、登山道へつながる道があります。

 


脇道を上っていくとトロッコをみつけました。鉄が撮りに来るらしくて、周囲は囲われていました。

 


やがて見えてきた第一廃屋。これは相当に古い建物ですが、ルートを間違えて接近できませんでした。

 

 
二つ目の廃屋はかなり新しい家屋です。やや痛んでいましたが、まだ住めるほど良い状態。集落は渓流を挟んで北と南に分かれているのですが、ここは南側です。途中の道はほとんど崩落して、足を踏み外せば谷底に転落します。雪の上に鹿の足跡がありました。

 


危険な南側を避け、今度は道のある北側に向かいましたが、道が倒木によって完全にふさがれ、迂回路もなく、進むことができません。この木々の下を匍匐前進して通り抜けました。帰りのことは考えていません。山の廃墟は片道切符です。

 


北側の廃屋が見えてきました。廃村は木々に囲まれているので、画角の狭い単焦点では全容を捉えるのは困難です。

 


縁側。内部は片付けられて、何も残っていません。森の音以外なにも聞こえません。

 


ポータブルレコードプレーヤー。レコードは残っていませんでした。

 


廊下。内側の部屋に沿った廊下によって、外気との温度差を生み出す構造です。うそです、いま考えました。

 


廃屋内部。この家屋は生活道具一式がほとんど備わっており、住人だけが忽然と消失したようです。手前のコタツにおかれているのはテープレコーダですね。昔の映画にはこの形状のテープレコーダが頻繁に登場していました。巻き戻すときに「きゅるきゅるきゅる」と音がしていましたが、実際は無音です。

 


クリーニングしたままのネクタイが吊されています。家人はもう二度とネクタイを閉めることはなかったのでしょうか。

 


台所もそのままです。古い形の茶箪笥がありますね。

 


小倉沢もそうでしたが、こうした山の中の集落にとっては火事が一番怖いものです。ここまで消防車はあがってこれないので、こうした消火栓や巨大な消火器を使って、自分たちで消火活動を行う必要がありました。

 


Animal Busと書かれています。秩父はリアルアニマルに遭遇するので、わざわざバスに乗せなくても結構です。

 


1995年4月3日月曜日。すなわち平成7年ですね。この日までは、ここの住人は健在だったということです。

 


プッシュ式電話です。平成の廃村ですから、ダイヤル式ではありませんね。

 


一時半で止まっています。丁度撮影時刻も同じ頃だったので、動いてるのかと思いました。障子や襖もボロボロですが、まだ建物自体はしっかりしています。

 


昭和グラビアを発見。基本、びっしりと文字で埋め尽くされた読み物です。こんな雑誌でも売れていた時代なんですね。

 


平成7年という20年も経たないあいだになんと我々は恣意的な生活に彩られることになったのでしょう。この年はWindows95が発売され、どろどろした時代の幕開けでもあったのですが、その幕も半分おりかけたところに、ネットワークはおろか、携帯の電波もガスも通じていない山間部の集落で、忘れかけた生活の必要がそのまま残されているのを発見し、私はじぶんに目と耳が備わっていることを再発見し、3600万という僅かな画素数のベイヤーセンサーがそれをかろうじて補完する時代を着想するのです。

ブログランキング・にほんブログ村へ
SERIES TOPICS - うわごう径を行く
安達 - 2013-03-06 00:19
茶平を後にして有坂を通過すると、たわの尾根に至る前に武士平集落と大神楽集落に立ち寄ることができます。アクセスの悪い有坂を避けたのですが、事前情報と異なり、これらは生きた集落でした。
みつけられた廃屋は武士平で二軒、大神楽で二軒のみ。それだけでも十分な宝の山です。
安達 - 2013-03-03 21:43
嶽集落からうわごう径を南下すると、巣郷集落の土台群を通過し、やがて茶平集落へ至ります。浦山渓谷がダムに沈む前はお茶の生産もやっていたこの集落は完全な廃村となっており、ここへ至る下道の12%勾配と、降った雪が溶けずにアイスバーン化して行く手を遮るのです。
この集落もまた有名ですから、今回、あまり目にすることの無い廃墟に残されたアーカイブと共に、西側廃屋を紹介します。
安達 - 2013-02-28 01:42
秩父浦山渓谷は白岩を起点として武甲南西の山を越え、大神楽、武士平に至り、茶平、巣郷、有坂、嶽、日向集落に通じる険しい山道のことを「うわごう径」といいます。
かつてPS2のホラーゲームSirenの参考にされた高度過疎集落群でもあり、住人の姿は絶えていますが、今回はこのうわごう径沿いの集落群を、白岩ではなく日向から逆に辿ります。
サイトマップXML自動生成ツール
The Wallpaper Journal All rights reserved.